1ドル163円の円安対策|手取り少なめでも私がNISAを続ける理由
※この記事は2026年7月25日時点の情報です。為替レートや各種試算は最新情報をご確認ください。
「1ドル163円」——テレビでもネットでも大々的に報じられて、「なんだかすごいことになっているみたい」とざわっとした方も多いのではないでしょうか。
輸入品はまた高くなるの? 貯金の価値って目減りしてるの? 投資、始めていいの?やめたほうがいいの? 考え出すと、不安は次々わいてきますよね。
先に、私の状況を正直にお話しします。私はNISAで全世界株のインデックスファンド(世界中の株式にまるごと分散投資できる投資信託)を積み立てているので、円安のおかげで口座の評価額は思った以上に増えています。でも、浮かれてはいません。いまの評価額は、いわば円安という浮き輪で浮かんでいるだけ。泳ぎがうまくなったわけではないよね、と自分に言い聞かせています。
この記事では、163円の円安で何が起きているのかを整理したうえで、手取り12万円だった頃から積立を続けてきた私が、円安でも変わらずやっていること・あえてやらないことをお伝えしますね。
評価額が増えてるなら、喜んでいいことなんじゃないの?
半分は、そうなんです。でも増えている理由の一部は「円の価値が下がったから」。為替が逆に動けば、同じ勢いで戻っていきます。だからこそ、一喜一憂しない仕組みが大事だと思っているんです。
1ドル163円、39年7ヶ月ぶりの円安で何が起きているのか
まずは、いま起きていることを冷静に見てみましょう。
2026年7月の円相場|1986年以来の安値水準
2026年7月21日、円相場は一時1ドル=163円台をつけました。これは1986年12月以来、実に39年7ヶ月ぶりの円安水準です(日本経済新聞)。その後も163円台後半で推移しています。
39年前というと、バブル景気が始まる前の話。いま働いている若い世代のほとんどが「経験したことのない円安」の中にいることになります。私もその1人です。
数年前まで「1ドル110円台」が普通だったことを思うと、同じ1万ドルの買い物に必要な円が、110万円から163万円に増えた計算です。輸入に頼る食品やエネルギーの値段が上がるのも、無理はありません。
円安が進む3つの背景(中東情勢・財政拡張への警戒・日米金利差)
なぜここまで円安が進んだのか。報道で挙げられている背景は、大きく3つです。
① 中東情勢の緊迫による「有事のドル買い」
米国とイランの攻撃の応酬など、中東情勢が緊迫しています。世界が不安定になると、投資マネーは「いざという時に強い通貨」とされる米ドルに集まりやすくなります。これが「有事のドル買い」です。さらに中東の緊張は原油高も招くため、原油を輸入に頼る日本にとっては、円安と燃料高のダブルパンチになりやすい構図です。
② 財政拡張路線への警戒による円売り
高市政権の財政拡張路線(国の支出を増やす方向の政策)に対して、「日本の借金がさらに膨らむのでは」という警戒から、円を売る動きが出ていると報じられています。
③ 日米金利差と円キャリー取引
米国の金利は高く、日本も金利は上昇傾向にあるとはいえ、まだまだ低い。この差があると、「金利の低い円を借りて(売って)、金利の高いドルで運用する」動きが起きます。これが円キャリー取引で、構造的に円が売られやすい状態が続いています。
ちなみに、日本の金利がこのまま上がっていくと、今度は住宅ローンなど別の形で家計に影響が出てきます。この話は、また別の記事で書きますね。
為替介入は?——すでに過去最大規模で実施済み
実は今年の4〜5月、政府・日銀は過去最大規模となる約11.7兆円の為替介入(国が円を買って円安を止めようとすること)を行っていて、円相場は一時155円台まで円高方向に戻りました(三井住友DSアセットマネジメント)。ただ、そこから徐々にまた円安が進み、いまの163円台へ——残念ながら「焼け石に水」となっている状態です。
片山財務大臣は「必要なら断固たる措置を果断にやる」と繰り返し市場をけん制していますが(2026年7月24日の会見・時事通信)、市場からは「通貨安容認」と見透かされているとの報道もあり(日本経済新聞)、介入頼みで流れが変わるかは不透明です。
円安で家計の負担はいくら増える?【試算データ】
「で、結局うちの家計にはいくら響くの?」——ここが一番気になるところですよね。
年間4.7万円の負担増|4人家族なら8.9万円の試算も
NRI(野村総合研究所)の木内氏の試算によると、2022年初の1ドル115円から160円程度への円安で、年間の家計負担は約4.7万円増えるとされています。さらに第一生命経済研究所の試算では、4人家族の場合、2026年の負担増は8.9万円にのぼる見込みです。
月にならすと4,000円〜7,400円ほど。「気のせいかな」では済まない金額が、静かに家計から出ていっていることになります。
手取りが少ないほど円安のダメージは大きい
そして、ここが大事なポイントです。円安のダメージは、手取りが少ない人ほど重くのしかかります。
年間4.7万円の負担増は、手取り12万円(年間の手取り約144万円)の家計にとって、手取りの約3.3%が消えるのと同じこと。私が手取り12万円だったのは十数年前の話ですが、もしあの頃のままの家計にこの円安が来ていたら……と考えると、正直ぞっとします。
いまの働き方に置き換えてみましょう。現在の最低賃金は、全国加重平均で時給1,121円(2025年度改定。一番低い沖縄県などでは1,023円)。時給1,121円で働くと、年間4.7万円は約42時間分の労働にあたります。つまり、毎月3.5時間分の働きが、まるごと円安に持っていかれる計算です。
手取り30万円の人にとっての4.7万円と、少ない収入で暮らす人にとっての4.7万円は、まったく重みが違います。私自身、手取り12万円で暮らしていた時代があるので、この「同じ金額でもダメージが違う」感覚は身にしみて分かります。だからこそ、後半でお話しする「守りの固め方」が大事になってくるんです。
物価高への具体的な守り方は、こちらの記事に詳しくまとめています。
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円安はいつまで続く?【2026年の見通し】
2026年も円安が続きやすいと言われる理由
市場では、2026年も円安が続きやすい環境とする見方が多くなっています。理由は先ほどの3つの背景がすぐには解消しそうにないからです。
- 日米の金利差は、縮まるとしても緩やかとの見方が多い
- 中東情勢の緊迫は続いており、「有事のドル買い」が起きやすい
- 財政拡張路線への警戒も、すぐには消えない
こうして並べると、「じゃあ円はもうダメなの?」と思ってしまいそうになりますよね。でも、ここで一度立ち止まってほしいんです。
ただし為替は誰にも読めない|円高転換のリスクも常にある
はっきり言い切れることが一つだけあります。為替の先行きは、誰にも読めません。
思い出してみてください。数年前、「1ドル150円を超える」と正確に予想できた専門家がどれだけいたでしょうか。逆に、過去には数ヶ月で10円以上円高に動いた局面もありました。米国の利下げ、日本の利上げ、中東情勢の変化、為替介入——きっかけ次第で、流れは一気に変わり得ます。
「円安が続きそうだから」と全力でドルに賭けるのも、「そろそろ円高になりそうだから」と様子見するのも、どちらも当てられない未来に賭けている点では同じです。私はこの前提——為替は読めない——を、すべての判断の土台に置いています。
外貨資産があると円安は「ダメージだけ」じゃない【私の場合】
ここまで円安の負担の話をしてきましたが、実は円安にはもう一つの顔があります。
全世界株インデックスの評価額は円安で膨らんでいる
私はNISAで、全世界株のインデックスファンドを毎月積み立てています。全世界株ファンドの中身は約6割が米国株で、そのほとんどがドル建てなどの外貨資産です。
外貨資産は、円安になると円に換算した価値が膨らみます。1ドル110円のとき100ドル分だった資産は1.1万円ですが、163円なら同じ100ドルで1.63万円。株価が1ミリも動かなくても、円安なだけで評価額は増えるんです。

実際、私の口座の評価額も、この円安で思った以上に増えています。日々の生活では円安の負担を感じつつ、資産側では円安の恩恵を受けている——外貨資産を持っていると、円安は「ダメージだけ」ではなくなる。これは手取り12万円時代に少額から積立を始めた私が、いま実感していることです。
でも鵜呑みにしない|円高に転じれば逆回転する
ただし——ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
私はこの評価額を、鵜呑みにしていません。
いま増えている分の一部は、株の実力ではなく「円が安くなったこと」による見かけの増加です。ということは、いつか円高に転じれば、同じメカニズムで逆回転します。1ドル163円が140円になれば、株価が変わらなくても評価額は目減りする。それが外貨資産の仕組みです。
ゲームにたとえるなら、いまは「円安」というブーストアイテムを拾って、一時的にバフ(パワーアップ)がかかっている状態。円高に転じれば、今度は同じ分だけデバフがかかります。
そもそも私は、「評価額が増えていること」自体を実力だとは思っていません。投資の実力が試されるのは、増えているときではなく、下がっているときにいかに慌てず持ち続けられるか——そう捉えています。
だから私は、評価額が増えても「勝った」とは思わないし、円高で減っても「負けた」とは思わないことにしています。いつ円高に転じるか分からないからこそ、心は平常心のまま、インデックス投資をそのまま継続する。これが私の結論です。
そもそもなぜ手取り12万円の頃に積立を始めたのか、その原点はこちらに書いています。
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では具体的に、163円の円安の中で私が何をしているのか。「やること」と「やらないこと」に分けてお伝えします。あくまで「私はこうしている」という一例として読んでくださいね。
続けること:NISAでのインデックス積立を淡々と
私が続けるのは、NISAでの全世界株積立を、金額も頻度も変えずに淡々と。これだけです。
理由はシンプルで、全世界株のインデックスファンドは、買った時点で通貨も国も分散されているからです。(ちなみに、全世界株のほかに米国株のインデックス——S&P500に連動するタイプなど——を選ぶ人も多いですね。外貨資産を持つという意味では、どちらも同じ働きをしてくれます)円が弱くなる局面では外貨資産部分が家計を支えてくれて、円高に戻れば今度は同じ積立額でより多くの口数を買える。毎月同じ額を積み立てる方式(ドルコスト平均法)なら、円安のときも円高のときも、自動的に「そのとき買える分」を買い続けてくれます。
為替が読めない私にとって、「読まなくていい仕組み」に任せるのが、いちばん心が平和でいられる方法なんです。
やらないこと:慌てて一括ドル転・積立停止・為替の短期売買
逆に、私がやらないと決めているのはこの3つです。
- 慌てて貯金を一括でドルに替えること——163円でまとめてドルを買った直後に円高が来たら、大きな含み損を抱えます。高値づかみのリスクを一点に集めたくありません
- 積立を止めて様子見すること——「円高になってから再開しよう」は、為替を読める前提の作戦です。読めない私には向いていません
- FXなど為替の短期売買——プロが集まる世界で、素人の私が短期の値動きを当て続けられるとは思えません。そもそも、もし私が為替を正確に読める超能力者なら、とっくに大金持ちになっているはずです笑。私はやったことがありませんし、やらないと決めています
どれも「為替を読もうとする行動」です。読めないものを読もうとした瞬間、心の平常心が崩れる——それが私の考えです。
守りを固める:固定費の見直しで負担増を相殺する
そしてもう一つ、投資よりも先にやる価値があるのが守りです。
先ほどの試算では、円安による負担増は年間約4.7万円(NRI試算)。実はこれ、通信費の見直しだけでほぼ相殺できる金額なんです。たとえばスマホ代を月4,000円下げられれば、それだけで年間4.8万円。円安の負担増を、固定費の削減でちょうど打ち返せる計算になります。
為替は自分ではどうにもできませんが、固定費は自分の意思で今日から下げられます。読めないものに悩む時間を、決められるものに使う。私はこの順番をおすすめしたいです。
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まとめ|為替は読めない。だから平常心で積み立てる
最後に、この記事の要点をまとめますね。
- 2026年7月、円は一時1ドル163円台。39年7ヶ月ぶりの円安水準(日本経済新聞)
- 家計の負担増は年約4.7万円(NRI試算)、4人家族なら8.9万円の試算も(第一生命経済研究所)。手取りが少ないほどダメージは重い
- 2026年も円安が続きやすいとの見方は多いが、為替の先行きは誰にも読めない
- 外貨資産があれば円安はダメージだけじゃない。ただし円高になれば逆回転するので、評価額の増加は鵜呑みにしない
- 私がやるのは「NISAの積立を淡々と継続」と「固定費で守りを固める」。やらないのは「慌てた一括ドル転・積立停止・為替の短期売買」
163円というニュースの数字は、たしかにインパクトがあります。でも、私たちの家計と資産を守るのは、ニュースに反応する瞬発力ではなく、読めないものは読まないと決めて、淡々と続ける平常心だと私は思っています。
評価額が増えている今も、いつか円高で減る日も、私は同じ金額を、同じように積み立てていきます。それが、手取り12万円の頃から少しずつ積み上げてきた私なりの、いちばん再現性のある円安対策です。
積立の前提になる「そもそもなぜ貯めるのか」は、こちらの記事もどうぞ。
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ここまで読んでくださり、ありがとうございました。ではまた次回お会いしましょう!
参考にした情報(出典)
- 日本経済新聞|円相場が一時163円台 39年7カ月ぶり安値更新、有事のドル買い
- 日本経済新聞|円相場163円台、見透かされた「通貨安容認」
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